
五行の「水」は冷たくて流れる性質を持つ。
いろんなものを取り込むことに長けていて、順応性がある。
そんな「水」はカラダではどこに位置するのでしょうか。
いのちの根源の臓腑=「腎」
水は、すなわち海。
海はすべての生命のおおもとです。
太古の昔、海から生命が生まれました。
そして、大陸で生活する生き物も海の中で進化したように、母体の中や卵の中で進化の過程を辿っています。
そんな「水」は、カラダに置き換えてみると、「腎」に当たります。
腎は生命を司る臓腑なのです。
生命に繋がる生殖機能をはじめ、成長・発達に大きく関わります。
腎と繋がるのは、膀胱や生殖器、耳、脳、骨、腰、髪の毛などです。
成長や発達を左右する「腎」
腎は、生命活動のおおもとの臓腑であるため、成長や発達に大きな影響を及ぼします。
赤ちゃんの頃は、腎は未発達です。
そのため赤ちゃんは、腎と繋がる髪の毛が薄かったり、脳がまだ発達しておらず喋ることができなかったり、腰が据わらなかったりします。
膀胱も同じように未発達で、尿の出を調整する事もできません。
成長とともに腎も発達していきますが、生まれつき腎が弱かったり腎の発達が遅いと、身体や脳の発達も遅くなります。
赤ちゃんの発達には個人差がありますが、それは同時に腎の発達の差があるということができます。
なかなかおねしょが治らない、といった子には、腎に効く漢方薬が出されたり、腎に繋がるツボにお灸を据えたりすることがあります。
老化の鍵を握る「腎」

成長すれば、同時に老化が起こっています。
老化も腎が鍵を握っています。
歳をとると、耳が遠くなったり、脳の機能が落ちて記憶力が低下したり、腰が曲がったり、尿もれがし始めたり、髪の毛が薄くなったりハゲてきたり…腎に繋がるところが目に見えて衰えてきます。
これは、腎が弱っているために出てくる症状です。
腎には陰と陽が蓄えられていますが、腎陽が弱ってくると、背中や腰が冷えたり薄い尿がたくさん出たり、軟便になったりなどの症状が出てきます。
腎陰が弱ってくると、寝汗が酷かったり手汗をかいたり、手足に火照りが出たり、喉がよく乾いたりなどの症状が出ます。
肌の潤いがなくなったり、髪の毛がパサついたりなどの美容に影響しやすいのは腎陰です。
どちらも腎の弱りであり、老化に直結するものですが、症状が違います。
人によって老化の傾向が異なるのです。
水分代謝を司る
腎の重要な役割の一つとして、水分代謝を司ることも付け加えておきます。
これは西洋医学でも同じようなことが言えます。
腎は西洋医学では腎臓にあたり、尿の生成を担っています。
中医学でも同じように、全身の水分代謝を調整しています。
水分代謝に関わる臓腑は、他に脾や肺などがありますが、他の臓腑と連携を取りながら水分の調整をしているのです。
生殖に密接に関係する

腎は五臓の中でも生殖、つまり妊娠、出産に大きく関わる臓です。
不妊の人の腎は弱っていると言っても過言ではないくらい。
妊娠しにくい人の腎の状態はあまりいい状態ではないと言えるでしょう。
生理不順であったり、排卵障害があったり、生理痛が酷かったり。
排卵して受精したとしても、着床しにくかったり、受精卵を育てられなかったり。
腎が弱っているということは、次の生命へのバトンを受け渡せるパワーが不足した状態です。
男性も同じで腎が弱っていると、精子のパワーも弱く、動きに力がなかったり生命力がなかったりします。
妊娠を望むのであれば、腎の力を底上げすることが必要不可欠です。
もし、以下のチェックが多く入ってしまったのであれば、要注意です。
「腎」の状態をチェック
- 髪の毛が抜けやすい、脆い、パサついている
- 白髪が多い
- 腰やひざが痛む
- 耳鳴りがすることがある
- 頻尿、尿が出にくい
- 物忘れが多い
- 手足や腰、腹部が冷える
- 基礎体温が高温期と低温期にはっきりと分かれない(女性)
- 勃起不全、射精ができない(男性)
老化とみられる症状が多いです。
ちょっとでも気になる症状があれば、腎を強化した方がいいかもしれません。
腎を強化する方法は別記事にてご紹介します。