
前回は、月経が来てから行う卵胞期の検査についてまとめました。
今回は卵胞が育ってきていよいよ排卵という時期に行う検査項目についてまとめていきます!
排卵期とは?
排卵期は、育った卵子がいよいよ排卵される時期です。
卵巣から成熟した卵子がポンと飛び出ことが排卵です。 飛び出した卵子は卵管采に取り込まれ、子宮に運ばれていきます。
排卵してから受精が可能な時間は限られていて、24時間と言われています。
つまり、この24時間の間に精子くんたちが卵子さんにたどり着かないといけないということになります。
排卵期の検査は LH、E2、P4の数値をチェック
この排卵期には、卵胞期と同じく血液検査を行い、LH、E2、P4の検査をします。
だいたい排卵するであろう時期、つまり生理11~14日目に行います。
P4 … プロゲステロン。黄体ホルモン。黄体から分泌される。基礎体温を0.2~0.4℃高くするとともに、子宮に作用して子宮内膜を厚くして受精卵の着床に最適な状態にする。
女性のための健康生活マガジン Jineko.net より
この排卵期にはE2の数値が上昇し、排卵直後にはLH値がポンと急上昇します。
P4の数値は排卵近くになると微妙に変化して少し上昇し始めますが、上がりすぎるのもよくないと言われています。
LHは急激に上がり、E2は200pg/ml程度、P4は1ng/ml程度であることが理想的だと言われています。
LHの量は排卵検査薬でもチェック可能
排卵検査薬ではLHが尿中に溶けだすことを利用して検査することができます。
ただし、水分を多く摂り過ぎたりすると正確に測ることができなかったり、そもそもLH値の高い多嚢胞卵巣症候群の人は排卵でなくても陽性になってしまったりするので、病院でチェックするのが一番確実です。
経腟エコーで卵胞チェック
排卵期にエコーを見ると、卵巣に卵胞が育っていることが確認できます。
排卵間近の卵胞のサイズはだいたい18~20mm。
エコーで卵胞の大きさを見て、その大きさに達していたら排卵直前だと医師は判断し、タイミング法を行うときは指示されたり、人工授精の場合はこの時に行います。
同時に子宮内膜の厚みもチェックし、着床に適した状態になっているかどうかも確認します。
ヒューナーテスト
ヒューナーテストは、性交後6~12時間以内に子宮経管粘液を採取し、精子と経管内部の相性を調べる検査です。
ちなみに私たち夫婦は、朝タイミングをとり、そのまま病院へ向かいました。(生々しい…(^^;))
採取した粘液中の運動精子数など、精子の状態を顕微鏡で見て調べます。
ヒューナーテストの判定基準(運動精子数/400倍視野当たり)
http://www.fukuda-hp.or.jp/koala_club/640.html
優 15個以上 有意に妊娠率が高い
良 10~14個 妊娠は十分に期待できる
可 5~ 9個 妊娠は期待できる
不良 4個以下 妊娠率は有意に低い
数値は目視で確認しますが、数でいうと上記の値が目安になります。
この検査をすると、先生が顕微鏡の状態を見せてくれますよ。精子くんがいるじゃないか…!と感動した覚えがあります。
(ただしヒューナーテストの結果が悪かったため、動きがよくありませんでしたが…。)
ちなみにこの数値が悪い(不良、4個以下)と、抗精子抗体(抗精子不動化抗体)の血液検査を行います。
抗精子抗体血液検査
ヒューナーテストで結果が悪かった場合に行う検査で、血液検査で行います。
抗精子抗体は2種類ある!
・抗精子凝集抗体:精子同士をくっつけて大きな塊を作り、精子の子宮内の侵入を防いでしまうもの
・抗精子不動化抗体:精子自体の動きを止めてしまうもの
抗精子凝集抗体の場合、精子の頭としっぽがくっついてしまって塊ができるので、ヒューナーテストで目視で確認できますが、抗精子不動化抗体の場合は、血液検査をしなければわかりません。
血液検査は、血液から血清を採取し、その血清を検査用に採取した精子と混ぜ合わせて確認します。
もし抗精子不動化抗体が存在した場合、時間とともに運動率が低下していきます。精子運動率を時間とともに測定し、どの程度障害を受けたかを示す「SIV値」( Sperm Immobilization Value )を算出します。
SIV値
Sperm Immobilization Value = C%/T% ( sperm motilties % in Control,unmarried, serum) / ( sperm motilities % in Test serum)〔SIV値〕 〔判定〕
1.40以下 陰性
1.41~1.99 判定保留
2.00~20.00 陽性
20.01以上 強陽性例えばSIV値が5であれば、運動率は「5分の1」にまで低下したことを意味します。
http://okawa.xrea.jp/Okawa%20ART/ART%20HP/ART%20kensa/anti%20sperm%20antibody.html
抗精子抗体は男性にも存在する!
抗精子抗体は、 性交を行ったときに何らかの原因で血液内に精子が入り込むことによってできると考えられています。
そのため、女性のからだに存在することは想像できます。
ところが男性の体内にも抗精子抗体が存在することもあり、それが男性不妊の原因になっていることもあるのです。
男性の体内に抗精子抗体が存在するときに考えられることは、精巣や精巣付近、精管周辺などに炎症があった時、精子が血液内に入り込んでしまったのではないかということです。
これは、男性の検査、精液検査にてチェックすることができます。
抗精子抗体が陽性の場合は体外受精適応!
私は抗精子抗体の血液検査で陽性だったので、体外受精の適応となりました。
ひと昔前は、しばらく精液との接触を避けることで抗体がなくなるとされていて、コンドーム治療法などもあったようですが、最近の研究や治療でその治療法の有効性は低いとされており、現在では体外受精のみが 有効な治療法とされるようになったようです。
排卵期はタイミング法とともにチェック
排卵期の検査は、タイミング法と兼ねて行われることが多いです。
そのため、ヒューナーテストのようにタイミングを取った直後に行う検査も同時に行うこともあります。
また、ホルモン値が重要になってくる時期なので、治療を進めていくうえでも大切になってきます。今後の治療において、ホルモンが低い結果だった場合は補い、逆に高かった場合には抑えるなど、お薬によって意図的にコントロールすることも可能になってくるのです。
排卵期にもいろんなことがわかります。
結果が悪くても、改善していく方法はいくらでもありますし、妊娠するための方法が洗い出せることもあるのです。
前向きに考えていきましょう!